わたしはどこにいる?お墓という道標(サイン)に導かれて

前回のコラムで、TAD(富山県美術館)の企画展「わたしはどこにいる?道標(サイン)をめぐるアートとデザイン」について、ほんのわずかしか触れずに終わっていたので、今日はこれについてもう少し深堀りしていこうと思います。

道標は「サイン」「道しるべ」といった言葉にも置きかえられ、目的地にたどり着くための目印を意味します。

人間がどのように場所や空間を理解し、伝えようとしてきたのか、そしてその中でめぐらされる「わたしはどこにいる?」という問いに、「アート」と「デザイン」の双方から迫ったのが、今回の展示のテーマとなっています。

記憶の回路をつなぎ合わせたサイン


秋山さやか「回路」制作風景 TADより

こちらは、秋山さやか氏の台湾の旅の記憶と富山の各地で旅で集めた品々が、網目のように繋ぎ合わせてつくられた作品。

鑑賞者を包みこむように張り巡らされた網には、ボタンや小物、訪れた店の袋、台湾の民芸品、魚津の海岸で拾った石などがぶら下がっています。

台湾と富山各地の小さなアイテムは、ひとつひとつはすごく個性的なのですが、それが不思議な一体感でつながり、記憶の回路のなかで共鳴しあっている。

アートに国境はないといいますが、台湾と富山が「旅の記憶」として繋がりあった瞬間が感じられます。

高校にある道標。メッセージとしての可能性

ウォールグラフィック「Wisdom on Wall」 TADより

さまざまな色に塗られた壁が立ちはだかり、一瞬、大きな迷路かと思った、アートディレクター・葛西薫氏の作品は、東京都立つばさ総合学校の廊下のウォールグラフィックを再現した展示で、よく見ると上のほうに何やら言葉が記されています。

これは、古代ローマ文明の知恵の集大成とも言えるラテン語の名言で、実際に学校では18のラテン語が、各階のそれぞれの基調色に合わせて記されています。

Omnium rerum principia parva sunt. 
「すべての物事の始まりは小さい。」


キケロー『善と悪の究極について』

Gutta cavat lapidem non vi sed saepe cadendo.

「滴は、力によってではなく、何度も落ちることによって、岩に穴をあける。」

ガリオポヌトゥス

この高校には「クラス」が存在しないので、壁が生徒たちの待ち合わせ場所の目印になるように意図して作られたのだとか。

言葉の意味を知ってか知らぬか、古代ローマの格言の下で、日本の高校生が未来の世界を語っている日常が、ここにあるのかもしれません。

「記憶」と「道しるべ」としての墓石

「人生の道標(みちしるべ)」という表現があるように、場所やそこに至る道程は人間の生き方とも分かちがたく結びついています。

とも解説されていた今回の展示は、「自分はどこを目指し、今どこにいるのか」を認知する、サインとしての道標を考えるメッセージとしても受けとれます。

そこで思い出したのが、棟方志功の墓。

彼は、自分の道しるべとなるようなお墓づくりをしていますが、お墓をつくることは、記憶と道標をカタチにしたアート作品の創作であるとも思うのです。

それは、カタチやデザインが個性的であるとか、石以外の異素材を使うとかの見た目の意味合いではなくて、生き方をともなった意味として。

亡き人を偲ぶ場所が、バラバラになりがちな家族をもう一度つなぐことになったり、子どもの原体験を生む空間となったり。
お墓が持つ道標としてのメッセージは、もしかするとアート作品のそれであり、また、それ以上の価値があるのではないか。そんなことを考えさせられた展示でした。

目的地は英語でいうと「Destination デスティネーション」です。
この英単語は、宿命を意味する「Destiny デスティニー」から派生しているため、英語の目的地には「そこへ行くように運命づけられた所」という意味合いがあります。

お墓は、ある意味では最後の終着点でもあり、終わりの地点であるからこそ、またそこから新たな未来が生まれる、はじまりを意味する地点でもあります。

お墓は「どう生きていくか」という自分自身へ問いかけるサインであり、またその答えを導く道標であるのかもしれません。

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