「終末期医療」からみる地域創生。あなたらしい、ゆたかな最期のために

「富山は人口にたいして病院の数は多いので、病院で亡くなることができる側面があると思います。また、その設計もかなり良くできています。たとえば、ここで突然倒れたとしても、だいたい20分以内にどこかの病院に運ばれます。この二次救急システム、輪番制がとてもよくできていて、他の県にくらべ、たらい回しもなく、富山は救急体制にとてもめぐまれていますね。
また、富山の人は共働きが多いので、核家族化などもあり、家でみられる人が少ないといったことも在宅死が少ない要因といえそうです」

富山市まちなか診療所の渡辺史子医師

持ち家率は全国でもトップの富山県ですが、在宅死が少ない背景には、このような文化的背景も関わっているようです。

「在宅医療の需要は高まっているものの、まだ医療者の側でも在宅でここまでできるなんて知らなかったというケースもありますね。『病院からひとまず帰りたいっておっしゃるから帰してみるんだけど、心配だったらいつでも病院に戻ってきてね』と帰してみたら、意外に在宅の方で検査も治療もできてた、と評価されることもあります」

「私たちはデスカンファレンスといって、亡くなったあと、病院から紹介いただいていた場合は、病院のスタッフと在宅に関わったスタッフとみんな一堂に会して、その方が亡くなられるまでの経過について、病院に報告をすることもかねて話をしに行きます。

本人が動けなくなっていく過程で家族の介護負担がかかることがあり、清水の舞台から飛び降りる思いをしながら退院されていくこともあるので、病院としては、これで帰して良かったんだろうかと心配されているんですね。
そのあたりが共有されると、『在宅でやっていけたんだね』と医療者側も在宅医療にたいしての認識が変わります。『ご家族も在宅で最初は戸惑っておられたけど、どんどん変わってこられて、最期はほんとに覚悟を決められて家で皆で看ていかれた』ということを伝えています」

地域医療との連携

まちなか診療所は、主治医が学会などで不在時に、事前に依頼があれば往診の代行もしています。

「一人で開業されている先生が、一人で外来をされて訪問診療に行き、また夜になって呼ばれて、また次の日も外来やって‥と、24時間365日を一人で回していくことになることがあります。在宅医療にも熱心で休みなく働いておられる、そういう先生も一部にはいらっしゃいますが、その一部の方の頑張りのもとに成り立っている在宅医療だと、やっぱり今後続いていかないかもしれない。さまざまなワークライフバランスの状況に合うような、これからの若者が続けていけるような、チーム体制での地域医療の仕組みづくりも私たちの役割となっています」

東京や名古屋などの都市部では、私立の在宅クリニックで、このように医師たちがシステマティックに連携をとり、地域の在宅医療を支えている例はありますが、公立の診療所で、過疎地域ではなく都市部で、在宅を専門にしている富山市のまちなか診療所は、全国初の事例でもあります。

在宅診療の普及、啓発と開業医の先生や在宅診療という文化を醸成していくためのサポートをしながら、在宅してみようという先生を少しでも増やしていきたいという渡辺医師ですが、そのモチベーションの素となっているものは何でしょうか。

「きっと、人間が好きなんですね。その人がその人らしくいられる、やっぱり家って良いじゃないですか。そういう場所で、家族がいる人は家族に囲まれ、愛情に包まれて過ごしていられる風景に私たちが癒されているのかもしれません」

訪問診療で利用する「コムス」(小型電気自動車)と渡辺医師

生後三ヶ月くらいのころに父親を亡くし、家族が病弱だったこともあってか、小さい頃から人の生き死にに興味を持つ子どもだったという渡辺医師。京都にいた子ども時代、一家全員で診療所で診察を受けていたときのことが原体験になっているようです。

「祖母が血圧を測り、母が診察してもらって。私は元気で、看護師さんと体重計にのって遊んだり(笑)、家族全体をまるごと何でもみてくださるお医者さんで、この人は大人として尊敬できるなと子ども心に思っていたと思うんですね」

これまでの医療は、臓器別に専門分化していく専門職を育てることが重視されてきましたが、高齢化社会に向けて、幅広く診られる総合診療(プライマリ・ケア)という概念が出てきました。在宅医療にも、まさにゼネラリストのような総合的な視点が必要になってくるようです。

「在宅で亡くなる、また看取りをする経験ができる医療職がまだまだ少なく、医学教育でも、地域に出ていって、看取りを経験することは少ないです。
この診療所は後輩を育てていくことにも今、力を入れています。そうしたなかで、おうちで過ごす人を支えたいっていう人が増えていくかもしれない。
今後、総合診療を専門とする医師を増やしながら、私たちは地域に向けて活動し、住民の方が総合診療医を必要としてくださるような意識の変容にも関わっていけたらと思っています」

診療所の施設内にとどまらず、これからの地域医療に求められる医療者を養成していく研修を随時行っている富山市まちなか診療所。

一地方都市とやまは、少しずつ、でもたしかに医療福祉の面から、地域創生の道を歩みはじめているようです。

 

♢渡辺医師が在宅でお看取りした富山市・松尾さまのインタビュー記事「人生100年時代の逝き方・見送り方~在宅死の看取り」

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